【大学入試センター試験】試験監督者からのインサイダー情報 !?
センター試験監督要領
明日と明後日に大学センター試験が開催され、大学教員の私も試験会場に赴きます。試験監督をする教員には、「試験監督要領(マル秘扱い)」なるものが渡され、試験室ではそれを読みながら受験生に指示をすることが求められています。
私が赴任した20数年前、この要領は、基本的な注意事項と受験生への指示の言葉が簡単に記載されているだけの、ごくごく薄いガイドのようなものでした。
その簡素さから、当時の教員の中には指示として記されていない自分なりの言葉を添えたりする人もおり、その方が全体として聞きやすくなるくらい当時のマニュアルは不完全であるとも言えました。
私も、(お節介だったかもしれませんが)優しいゆったり声で、次のように付け加えたりしていました。
「開始までしばらく時間がありますね。深呼吸でもして、心を落ち着け、全力を出し切れるように、待っていてくださいね~」
振り返れば、のどかな時代でした。
ところが、今のマニュアル本は電話帳(という比喩が既に古くさいけど)。かなり分厚く変化しています。
指示事項が細かい台本のように記され、マニュアル通りに動くことが徹底して求められます。
監督者に要求される事項は、科目選択の複雑化、英語リスニング試験の追加などのために格段に増え、それ以外の指示などを足す余地も時間もない(そもそも禁止)、実に窮屈なものになりました。
マニュアル通りにやればいいというのは、一見たやすく聞こえるかもしれませんが、全国の試験会場で一斉に行われミスも遅滞も許されないお仕事は、教員といえども緊張度が格段に上がります。
しかも大学の先生というのは、みんなと同じことをやることはそもそも苦手。
研究でオリジナリティーを求められているせいかな(笑)? まぁ、簡単に言うと、普通のことがやれない人種なのです。
猫は犬掻きをしたくない、馬は念仏を覚えられない。
この身も、できるなら試験監督から逃れたい、あぁ。
試験監督から受験生へのアドバイス
最後は愚痴になり、これでは身も蓋もないので、頑張る受験生の皆さんへのインサイダー・アドバイスを一つ。
試験室で緊張を落ち着かせようと思ったら、遠くに立つ、厳格な表情の監督者をしばし眺めてみましょう。
そこには、もしかするとあなたと同じ位に、内心ではドキドキと心臓を打ち鳴らし、出来れば逃げ出したい気分を我慢して立っている大人がいます。
そして監督者さえも同じ仲間だと認識できたあなたは、いつしか自らの緊張が緩み実力を出し切る心理状態へシフトすることでしょう。人間とはそういうものだから。
受験生の皆さんが実力を発揮できるよう、心の中で応援しています!
次回は、今年の私の試験監督業務がどうだったのかをレポートしてみたいと思います。