【大学入試センター試験】教員から見た試験場と、受験生に伝えたいたった1つの事
1.センター試験、こんな仕事も大学教授が行うの?
今年の私は、試験監督係ではなく、警備係でした。
会場の建物の入り口で、不案内な受験生を誘導したり、不審者をチェックしたりする役回りです。
試験実施業務にあたる全教員のうち、1割強がこの仕事につく計算になるでしょうか。残りの9割は、試験監督係に割り振られます。
しかしこの職に就く前の私は、このような類の仕事を大学のセンセーがするなんて、まったく想像していませんでした。
試験監督者を大学教員がやらないといけないのは、入学者を決める責任の重い試験監督業務なのでまだ理解できますが、警備の仕事はバイトを雇ってもできそうなシンプルなお仕事だと感じてしまいました。
本来は研究と教育に勤しむはずの国立大学法人の教員が、このような業務に2日間も費やすのは、相当に税金の無駄遣いであるといえないでしょうか。
時給単価を計算してみれば、バイトを雇う方が経費の削減にもなるでしょう。
まあ、大学教員は残業代が出ない固定給なので、教員を余分にただ働きさせて(振替休日を取るようにという指示はあるものの)、バイトを追加で雇わないことが一番安上がりな方法ですが…(笑)。
万一、いかつい不審者が現れたら、老いぼれ教員は、一体どうすればいいのでしょう(笑)
若い元気ハツラツな警備係の方が、ずっと適任のはずです。
2.アメリカと日本の大学教員、受験制度の違い
同僚アメリカ人の先生も同意見で、米国の大学ではこのようなことに教員が駆り出されることは、到底考えられないと、苦笑しておられました。(そもそも全国一律に大学入試をするという発想が、日本的だと感ずるということでしたが)
日本ではアメリカの大学に比べ雑務が多く、このような業務にまで駆り出されるのに、
“日本の大学の研究水準の順位は世界と比べて低い…”などと社会問題視されるのだから、愚痴の一つぐらい言わせてください。
国会で、「この点、文科大臣のご所見を伺いたい」と言いたいところです!
3.それらしさ
さて、その警備係を勤めての今年の感想ですが・・・、寒かった。
今日の私は、ヒートテック下着の上にタートルネックのシャツ、分厚い毛糸のカーディガン、オーバーコートを着込み、首にはマフラー、ポケットには携帯カイロの重装備。顔も寒かったので大きなマスクまでかけました。
着膨れした相当に地味な出で立ちは、さしずめ、
スキー場リフトの切符切りのおじさん(笑)?
大学教員が、誘導や警備をしているとは一般の方は想像しておられないでしょうけど、一体どこの受験生が、私を見て、
「ここに、満月教授がいる!」と思うことでしょうか(笑)
とにかく、大学教員としては、それらしくありたい類のお仕事をしたい訳です。
ブログに「寒かった」とだけの感想を記す2日間ではなく、
教育と研究に専念する「熱い」2日間を来年から過ごしたいものです。
4.試験を終えた受験生の皆様へ
「過去は全てプロローグである」というシェークスピアの言葉があります。
目標点を取れ最高な気分の人も、目標点を取れず志望校を変更せざるを得ないため落胆している人も、大切なのは「今」であり、次への切り換えです。
まずしっかり心と身体を休ませて、また二次試験に向けて頑張りましょう。
どのような過去も、全ては今を頑張るためのプロローグにすぎないのです。
人生という長い目で見たときに、センター試験を意味のあるものにしてください。心から応援しています。
5.次回は、新聞沙汰になった出来事です
私自身が過去に体験した、センター試験会場でのちょっとしたハプニングを、次回に紹介したいと思います。